ワイン考

開高健の「美食文化論」の中の名言の一つに「ワインであろうと、コニャックであろうと、ウイスキーであろうと、何であれ、その良否を知る一つの方法は、日ごろから安物を飲み続けることである。」というのがある。

僕はこの教えに従い、20余年間、米国で毎日、安物ワインを飲み続けてきた。人間の味覚とは不思議なもので、毎日飲んでいるとやがて慣れ、いつのまにかそれがスタンダードになる。言い方を変えると、人間の舌は記憶にある底辺の品質に標準化しようとする機能があるようだ。これは生存するための知恵のひとつかもしれない。そうでもしなければ、たまたま飲んだ高級ワインの味がいつまでも忘れられなくなりストレスがたまり日常生活に支障をきたしかねないことになる。

安物で標準化していれば、たまに飲むうまいワインの味の奥深さにすぐ気づくわけで良否の判断をしやすいというわけだ。そんなわけで、僕が導き出したワイン価格と味の経験則はこうだ。「高いワインが必ずしもうまいとは限らないが、安いワインは絶対にうまくない」。こう書くと、誰しも、「それではうまい、まずいの境界はどのあたりなの」と思うだろう。私の経験からいくと、それは産地で異なる。フランスの赤ワインは20ドル前後。アメリカ、イタリアは15ドル近辺。1ドル110円計算である。だが、このクラスの輸入海外ワインは日本では倍掛けが当たり前なのでけっこう高い価格帯になる。

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例えば、米国では14ドルで買えるイタリアの「アンティノーリ」は日本では3000円もするのでもはや毎日飲めるワインではなくなる。従ってこの数字は日本国内ではあてはならないかもしれない。さらに国産ワインの愛好家の方には何とも失礼な言い方だが、「手頃な値段の国産赤ワインは例外なくうまくない」。手がでないほど高価な国産ワインは飲むこともないので国産ワインに関しては正しい評価ができないが、私の拙い経験では国産ワインは味と価格にバランスが取れていないように思う。チリや南アフリカのような新興ワイン産地と伍していくにはまだまだ時間がかかりそうだ。

rocketboy2 について

合成化学と薬化学と天然物化学を生業にし、それらを基盤にしたビジネスを展開している。
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